恐慌

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恐慌(きょうこう、 crisis、 Wirtschaftskrise)とは景気循環の過程のうち、好況段階における深刻な景気後退である。なぜならば、まだまだ景気や株価が上昇していくと予測されている最中での突然の下落こそ恐慌と定義されているからである。経済学の研究分野の1つであるが、この現象を重要視するのはマルクス経済学である。

概要[編集]

19世紀には10年周期の景気循環により、恐慌現象が頻繁に起きていた。20世紀前半には世界恐慌が起きた。20世紀後半には経済政策の成果などもあり、凄惨な恐慌現象はあまり見られなくなった。政府中央銀行当局のマクロ経済学に関する知識も蓄積され、適切な金融政策をとることによってかつて見られたような恐慌は回避できるとするのが一般的である。それゆえ現在の経済学、特にマクロ動学理論においては経済成長論の方が重要視される。

ただしサブプライムローン問題に端を発っし、2008年9月15日リーマンブラザーズ破綻をきっかけとする世界規模の大幅な景気後退をもって世界恐慌と呼ぶケースが増えており21世紀においても恐慌は発生しうるものだとの認識が急速に拡大している。

マルクス経済学における恐慌論[編集]

マルクス経済学において、恐慌は貨幣が媒介する商品流通の現象であると考えられている。なぜなら貨幣が媒介した商品の流通は時間的・場所的な制約を突破するが、同時に商品交換に存在する自分の商品の譲渡(販売)と他人の商品の入手(購買)との直接的な一致が分裂するからである。購買と販売の無条件一致の前提は直接交換でないと成立しない、としている。

恐慌の必然性[編集]

商品経済と階級社会を特徴とする資本制経済においては、生産手段の私的所有と生産の社会的性格が矛盾する。したがって生産の決定は資本家が行うことになり、供給がもっぱら利潤拡大を念頭に置かれるとともに労働者搾取は激しくなる。このことから、生産の拡大傾向と労働者の消費制限の対立(生産と消費の矛盾)が生じ、生産と消費の不均衡が生じて経済が立ち行かなくなる。この不均衡を暴力的に解消し、再生産をもとどおり可能にさせる手段が恐慌という装置であると説く。

学説[編集]

以下の2つが有名である。

  1. 不比例説
  2. 過少消費説

不比例説は生産の無政府性により生産と消費が不均衡になるため起こるとするものであり、ミハイル・トゥガン=バラノフスキーらによって主張された。過少消費説は大衆の消費不足と資本家の消費制限から説くものでありジャン=シャルル=レオナール・シモンド・ド・シスモンディヨハン・ロードベルトゥス、また最近の経済学者ではポール・スウィージーポール・A・バランによる。いずれも一面的な見解であり、双方の説を踏まえて恐慌を考えなければならない、と言われる。

関連項目[編集]