加賀山領治

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加賀山 領治(かがやま りょうじ、1950年1月3日 - 2013年12月12日)とは、2000年に中国人女子留学生を刺殺、2008年大阪市北区の複合商業施設「D・Dハウス」で会社員を刺殺した死刑囚である。

いきなり刺して逃走、男性殺害と留学生殺害に共通点(2008年2月)[編集]

「生活費に困り、盗み目的でD・Dハウスに行き、犯行に使う道具を点検中に会社員がトイレに入ってきた。警察に突き出されると思った」

D・Dハウスの2階共用トイレで会社員森永彰さん(30)を殺害したとして殺人容疑で逮捕された加賀山領治(58)は逮捕直後、大阪府警の調べにそう供述した。

加賀山はバッグに入れていたドライバーを床に落とし、直後に偶然トイレに入ってきた森永さんに「泥棒でもするんか」と見とがめられ、殺意を抱いた。加賀山はバッグを現場に残したまま逃走した。

2000年7月の留学生殺人事件では、犯人の男は中国人留学生の韓穎さん(当時24)のバッグを奪った後、取り押さえようとした会社員を刃物で刺し、さらに追いかけてきた韓さんも振り向きざまに刺して殺害した。現場には犯人のものとみられる自転車や眼鏡などが残されていた。

両事件に共通するのは、まず犯人の目的が金品にあるところだ。そしていずれの犯人もあらかじめ刃物を携帯しており、抵抗にあうなど想定どおりに事態が進まなくなったとみるや、いきなり被害者を刃物で襲っている。さらに現場に盗みの道具などを遺留したまま逃走している点も似ている。

加賀山は2003年ごろ、生活に困って大阪市西成区ホームレス生活をしていたという。その後自立支援センターに入所し、大阪市此花区の会社で一時働いていた。会社員殺害事件時は無職で、同区の公団住宅で1人で暮らしていた。

衝動的殺意?犯行わずか1分間。大阪キタ・男性殺害[編集]

森永さんが現場のトイレに入ってから胸を刺されて逃げ出すまでの時間が1分間だったことが、府警による現場付近の防犯ビデオの分析からわかった。殺人容疑で逮捕された加賀山領治(58)は「盗みの準備を目撃され、警察に突き出されると思った」と供述しており、府警は、衝動的に殺意を抱いて犯行に及んだとみている。

府警が施設内に設置された複数の防犯ビデオを解析したところ、加賀山容疑者は2月1日午後10時13分、1階エスカレーター付近に姿を見せた。どの店にも立ち寄らずに2階に向かい、2分後に共用トイレに入った。

森永さんがトイレに入ったのはその40秒後。森永さんはトイレに入ってから1分後、血で染まったシャツの胸の部分を押さえながら逃げ出した。その2秒後に加賀山が刃物を隠すように片手をわきの下に挟みながら立ち去っていた。

加賀山は盗みを計画し、バッグの中に入れていたドライバーや粘着テープなど犯行に使う道具を点検しようとしていた。ドライバーを床に落としたのとほぼ同時に森永さんがトイレに入ってきた。

加賀山は「『泥棒でもするんか』と言われ、バッグの中を見られそうになったので刺した」と供述。防犯ビデオの分析結果と供述による犯行の経緯はほぼ一致しており、府警は加賀山容疑者がD・Dハウスの営業終了後に盗みに入ろうと準備していたところを目撃され、犯行に及んだとの見方を強めている。

8年前の殺人に関与か、DNA一致。大阪の刺殺事件容疑者[編集]

大阪・梅田の商業施設「D・Dハウス」で神戸市の会社員森永彰さん(30)が刺殺された事件で、曽根崎署捜査本部に殺人容疑で逮捕された無職加賀山領治(58)のDNA型が、2000年7月に大阪市で中国人女子留学生が刺殺された事件の遺留物のDNA型と一致した。 大阪府警は、加賀山が留学生刺殺に関与した疑いがあるとみて追及する。

留学生刺殺事件は2000年7月29日午前1時ごろ発生。大阪市中央区の路上で、アルバイト先から帰宅途中の韓穎さん=当時24歳=が自転車の男に奪われたバッグを取り戻そうと追い掛け、腹部を包丁で刺されて間もなく死亡した。府警は強盗殺人容疑で捜査している。

男は犯行後、自転車で約100メートル離れた公園まで行き、血の付いたバッグを捨て、現金を抜いた財布を公園から約200メートルの民家わきに捨てていた。曽根崎署捜査本部は加賀山のDNA型を警察庁のデータベースに照会した結果、遺留物のDNA型と一致した。

大阪DDハウス事件の死刑囚の刑を執行。谷垣法相が命令(2013年12月)[編集]

加賀山死刑囚は平成12年7月、大阪市中央区の路上で中国人女子留学生の韓頴(ハンイン)さんのバッグを強奪し、ナイフで刺殺。助けに入った会社役員の足を刺した。さらに平成20年2月、同市北区の複合ビル「D・D HOUSE」の2階トイレ内で、会社役員の森永彰さんにナイフを突きつけて「金を出せ」と脅し、胸などを刺して殺害した。

1、2審では殺意の有無などが争点となったが死刑判決を受け、2012年7月、最高裁第3小法廷が上告を棄却。死刑が確定していた。

死刑執行について、経営していた串カツ屋などで約2年間、韓さんを雇っていた大阪市都島区の大島矢洲男さん(71)は「死刑は当然。遺族の方も落胆していたし、執行は遅いぐらいだ」と話した。

一方、2審大阪高裁で加賀山死刑囚の国選弁護人を務めた佐野喜洋(よしひろ)弁護士(大阪弁護士会)は「裁判所の判断なので、やむを得ないのかとも思うが…」と無念さをにじませた。

連続殺人の男ら2人、死刑執行…確定死刑囚は129人に(2013年12月)[編集]

谷垣禎一法相は12日午前、1986年山梨新潟両県で2人を殺害した藤島光雄死刑囚(55)=東京拘置所=と、2000年2008年大阪市で2人を殺害した加賀山領治死刑囚(63)=大阪拘置所=の2人の死刑を執行したと発表した。

昨年12月末の政権交代後では、今年2、4、9月に続く4回目の執行で、今年に入ってからの執行は計8人になった。

谷垣法相は前回9月12日の執行から約3カ月で執行命令を出したことになる。今回の執行により確定死刑囚は129人となった。

確定判決によると、藤島死刑囚は1986年3月、山梨県笛吹市(旧春日居町)の前妻宅で祖母(当時73歳)と口論になり、浴槽に押し込んで殺害。5日後、逃走資金を得るため、前妻の知人男性(同26歳)を新潟市内のホテルに呼び出し、金を脅し取って殺害した。

加賀山死刑囚は2000年7月、大阪市中央区の路上で中国人留学生の女性(同24歳)からバッグを奪って刺殺。取り押さえようとした男性(同34歳)にもけがをさせた。2008年2月には大阪市北区の商業用トイレで強盗目的で男性会社員(同30歳)を刺殺した。

記者会見した谷垣法相は「いずれも誠に身勝手な理由から被害者の尊い人命が奪われた極めて残忍な事案だ。十分な審議を経た上で死刑が確定しており、慎重な検討を加えた上で執行した」と述べた。