首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス線

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ファイル:Tsukuba-Express-TX-2000.jpg
試運転中のTX-2000系(北千住駅付近にて)

つくばエクスプレス線(しゅとけんしんとしてつどうつくばエクスプレスせん)とは東京都千代田区秋葉原駅茨城県つくば市つくば駅を結ぶ首都圏新都市鉄道(MIR)の鉄道路線である。

首都圏新都市鉄道による旅客案内は「つくばエクスプレス」に統一されており、会社名は会社そのものを指す時以外では基本的に使用されない。この点は鹿島臨海鉄道の「大洗鹿島線」や愛称名ではあるが名古屋臨海高速鉄道の「あおなみ線」とほぼ同じである。なお「つくばエクスプレス」は一般公募による名称で最多応募は「つくば線」であった。

略称のTXは「Tsukuba Express」から採られている。同路線内においてロゴマークとしても多用されている公式の略称である一方で、路線名の文字数が長いため「つくばEX」「つくばEXP」といった独自の略記述も各新聞の記事で見られる。

路線データ

  • 管轄:首都圏新都市鉄道(第一種鉄道事業者
  • 路線名:つくばエクスプレス線
  • 区間:秋葉原~つくば 58.3km
  • 駅数:20
  • 軌間:1067mm
  • 複線区間:全線
  • 電化区間:全線(秋葉原駅~守谷駅:直流1500V、みらい平駅~つくば駅:交流50Hz 20000V)
  • 閉塞方式:車内信号による車内信号閉塞式(ATC及びATO
    前方予告・進路予告機能付1段ブレーキ制御デジタルATCを採用(東京地下鉄東西線向けに導入準備中のシステムと同仕様とみられるが、こちらは160km/hまで対応)
  • 最高速度:130km/h
  • 表定速度
    • 秋葉原~つくば:58.3km、快速45分、表定速度77.7km/h、途中停車駅数7
    • 北千住~つくば:50.8km、快速33分、表定速度92.3km/h、途中停車駅数3
    • 流山おおたかの森~つくば:31.8km、快速20分、表定速度95.4km/h、途中停車駅数1
    • 守谷~つくば:20.6km、快速11分、表定速度112.4km/h、途中停車駅数0
      通勤路線としてはトップクラスの表定速度
  • 車両基地所在駅:守谷駅
  • 建設主体:独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構2003年10月1日日本鉄道建設公団より事業承継)

概要

全線でATOによる自動運転及びワンマン運転を実施し、全駅に可動式ホーム柵を装備している。起点側の秋葉原駅八潮駅間は北千住付近を除いて地下線である。また地下線以外の区間は全て高架または堀割構造であるため、踏切が存在しない。ATO運転だが、運転士は乗務している。

最高速度130km/h・通常125km/hの高速運転で秋葉原とつくば間の約60kmを最速45分で結ぶことなどによる利便性から、第三セクター鉄道としては好調な滑り出しを見せており、初年度の乗客数は3,469万人で、1日平均の乗客数も開業前の予想である135,000人を超える150,700人を達成した。なおラッシュ時の混雑率は、最混雑区間の青井~北千住間で140%である。

これらの結果から初年度営業収益は予想の90億円を大幅に超え140億円となった。但し、最終損益は減価償却費109億円を計上したなどのために49億円の赤字である。なお、2006年5月には1日平均乗降客数が192,400人に達し、当初の予想を大きく上回った。東京及び筑波研究学園都市への通勤路線としての性格や、高速バスつくば号)から取って代わった東京~筑波研究学園都市間の都市間輸送のほか、開業時までは重視されていなかった東京・千葉県方面から筑波山への観光輸送の主要ルートとしても、多くの客に利用されている。

「首都圏 JR・私鉄 路線ユーザー評価調査【城北・城東版】」調査」(2007年6月28日7月2日HOME'Sリサーチ)で首都圏【城北・城東エリア】を走る各路線(地下鉄を除く)において利用客の満足度ナンバーワンに選ばれた。

利用状況

  • 2005年度(2005年8月24日~2006年3月31日
    • 輸送人員 3500万人
    • 1日平均乗客数 15万700人
  • 2006年度
    • 輸送人員 7100万人
    • 1日平均乗客数 19万5300人
      2007年4月の1日平均乗客数は239,000人

ちなみに経常黒字に必要な1日平均乗客数は、車両の増備等の出費がない条件で22万人とのことである。

電化方式

つくばエクスプレス線は秋葉原駅から守谷駅~みらい平駅間までと守谷駅~守谷車両基地間は直流1.5kVで、以北は交流20kV/50Hzで電化されている。これは、沿線の茨城県石岡市柿岡にある気象庁地磁気観測所での地磁気観測への影響が懸念されたためで常磐線取手以北が交流電化区間となったことや関東鉄道常総線が全線非電化であることと同じ理由であり、交流と直流双方の電化方式を採用しているのはJR以外の日本の鉄道事業者では唯一である。全区間が交流電化にならなかったのは、その場合架線と車体の絶縁距離を確保するためにトンネル断面を大きくせざるを得ず、建設費の高騰につながると判断されたからである。

秋葉原~つくば間を通して運転するためには交直両用車両が必要になるが、直流専用車両と比べて製造コストが高い。そのため、つくばエクスプレスでは秋葉原~守谷間限定で使用する直流専用電車TX-1000系と秋葉原~つくば間の全線で使用する交直両用電車TX-2000系の2系列を用意することで総コストの削減を図っている。

交直・交交セクション

守谷~みらい平間に無電区間(デッドセクション)があり、電車は走行中に交直流切り替えを行う。切り替えは装置に不具合がなければ(運転士の操作ではなく)自動で行われる。

デッドセクション通過中でも国鉄型交直流電車のように車内灯(蛍光灯)が消えることはないが、エアコンは停止し行先・停車駅表示パネルは消灯する。ただし、旅客案内用フリーパターンディスプレイは消灯しない。また、側壁(防音壁)に無電区間を示すマーキング塗装があり、これらからデッドセクションの判別が可能である。

また、みどりの~万博記念公園間でもパネルの表示が消える区間がある。そこは交交セクションと呼ばれる箇所であり、変電所相互における交流電流の位相差による障害を防ぐため設置されている。

運転形態

近年新規開業した他の路線同様に全線が高架・堀割・地下線で建設されており、踏切が存在せず線形も良いため、首都圏のJRを除く鉄道の通勤電車では初めて130km/h運転を実施している(ATOによる制限速度は127km/h)。また国土交通省令の解釈基準[1]が適用されるため、ほくほく線などと同様に130km/hを超える速度での運行も可能になっている。保安装置を含めて設備上は160km/h運転にも対応できるように設計されており、社の幹部も将来的には160km/h運転も検討しているとメディア上で発言している(テレビ東京ワールドビジネスサテライト」)。

ATO支援によりワンマン運転が実施されているのが特徴である。これは各駅のホームに可動式ホーム柵が設置されていることにより、車掌による発車ないし停車時の安全確認作業を省略できることが大きい。

列車種別

列車種別は快速・区間快速・普通の3種類で、快速は秋葉原~つくば間を45分で結んでいる。

駅に掲示されている時刻表には、京浜急行電鉄東京急行電鉄都営地下鉄浅草線と同様に通過列車が(横線)で記載されている。

■の色は、路線図や時刻表などで用いられる種別色である。

快速(Rapid)
最上位に位置する種別。つくば駅と浅草駅を除き他路線との乗換駅のみに停車駅が絞られていて、埼玉県内には停車駅がない。
停車駅:秋葉原北千住間各駅 - 南流山 - 流山おおたかの森 - 守谷 - つくば
基本的に全列車TX-2000系で運行。
区間快速(Semi-Rapid)
普通列車の一つ上位に位置する種別。行先表示器には、「区快」と表示される。「区間」と名乗っているが、一部区間が快速と同じ停車駅というのではなく、快速とは異なる停車パターンで運行される。そのため、開業前の新聞では「準快速」の併記も見られた。通過駅は4駅のみで、1つの自治体に最低1つは停車駅がある。守谷~つくば間は守谷発着の各駅停車を補完する役割を担っている。同様の例としては阪神本線の「区間特急」がある。
停車駅:秋葉原~北千住間各駅 - 八潮 - 三郷中央 - 南流山 - 流山おおたかの森 - 柏の葉キャンパス - 守谷~つくば間の各駅
基本的にTX-2000系で運行するが、朝夕の守谷終着・始発の列車の一部はTX-1000系で運行する。
普通(Local)
各駅に停車する最も遅い種別。
基本的には秋葉原から守谷までの区間運転だが、早朝や深夜にはつくばまで直通する。また、2006年7月21日からの臨時ダイヤでは守谷~つくば間の区間列車が増発されている。
基本的にTX-1000系で運行するが、つくばまで走る列車はすべてTX-2000系で運行される。また、日中は守谷終着・始発でもTX-2000系で運行する列車も少なくない。朝夕でも運用の都合でTX-2000系が入ることもある。

なお、終電運行の際には行先表示器に最終である旨の表示も行っている(例:「普通│(最終)つくば Local Last/Tsukuba」)。

折り返し駅

折り返しを行っている駅は、秋葉原(起点駅)とつくば(終点駅)のほか、引き上げ線のある八潮と守谷の4駅である。北千住駅のつくば方と流山おおたかの森駅の秋葉原方にも渡り線があるが、ともに現状では非常時の折り返し運転用設備とされている。

待避可能駅は線路配線上では八潮と流山おおたかの森の2駅である。守谷駅は2面4線のホーム構成ではあるが、上下線各ホームの内側線のつくば方向は車両基地にしか出入りできない配線となっている。

開業前は昼間時に秋葉原~八潮間の普通の区間運転列車の毎時4本設定も検討されていたが、利用者需要予測から現時点では設定は見送られている。

ダイヤ

快速は秋葉原~つくば間58.3kmを最速45分で結ぶが、表定速度は約77.7km/hと高速走行を前提とした設計の路線で130km/h運転を行う割には比較的遅めである(参考までに、最高速度100km/hの京葉線通勤快速―東京蘇我間43.0kmを33分―は表定速度78.2km/hであり、TXとほぼ同じである)。これは、秋葉原~北千住間7.5kmは各駅に停車するためであり、北千住~つくば間50.8kmの表定速度は92.3km/hである。

以下に、時間帯別の具体的なダイヤ設定について記す。

平日朝のダイヤ

ラッシュ時(北千住着7:30~8:30)は秋葉原~守谷間で16本/時の運行本数が確保されている。普通列車と快速・区間快速の運行本数を同数として交互に運行する。快速・区間快速の前を走る普通は流山おおたかの森で待ち合わせ、さらに一部の普通は八潮で待ち合わせを行うことがある。また、守谷始発の快速・区間快速も運転される。

開業当初は、朝ラッシュ時でも快速・区間快速の所要時間が昼間時と変わらなかった。ただし、普通に関しては八潮と流山おおたかの森の2回待避となり、秋葉原~守谷間の所要時間で昼間時の待避がない列車と10分の差がある列車も存在した。

2006年12月8日ダイヤ改正ではそれまで11本あった上り普通列車の八潮と流山おおたかの森における2回待避を行う列車について、先発の7本は八潮での待避を取りやめて秋葉原までを先着とした。特に、区間快速には八潮で大量の乗客が普通列車から乗り換えることにより普通列車と快速・区間快速の混雑度に大差が生じていることから、混雑度平均化の目的で行ったものである。快速・区間快速は1~2分運行時間が伸びたものの、普通列車は待避が1回となり運行時間も5分程度短縮し、秋葉原に先着することから乗り移りもなくなり、一応の効果を見せている。この改正までは北千住~秋葉原間は16本/時運行する列車をなるべく均等間隔に走らせようとしていたが、このダイヤ改正後は普通列車の後秋葉原に到着する快速・区間快速は最小運転時隔である約2.5分、その後の普通列車は約5分という運転時隔となり、それぞれの折り返し時間も変更された。下りについても、6本あった2回待避の普通列車はすべて1回待避に変更されている。

2007年10月18日のダイヤ改正では守谷発7:23と7:53の上り快速が区間快速に変更し、柏の葉キャンパスや三郷中央、八潮の利便性を高め、平準化を図る。また、八潮発の上り普通列車を新たに増発させる。

現行設備・車両数でも24本/時までの運行が可能であるとされている。

昼間のダイヤ

昼間(10~17時頃)は規格ダイヤ(パターンダイヤ)になっている。1時間あたりの運行本数は秋葉原~つくば間を運行する快速・区間快速各2本と秋葉原~守谷を運行する普通4本である。

下り列車は秋葉原発毎時快速が0・30分、区間快速が15・45分、普通が7・22・37・52分である。快速の前を走る普通(秋葉原22・52分発)は流山おおたかの森で快速の接続待ち合わせを行うが、区間快速の前を走る普通は待ち合わせを行わない。行先は、快速・区間快速は全てつくば行き、普通列車は秋葉原16時52分発(つくば行き)を除いて全て守谷行きである。

上り列車はつくば発毎時快速が11・41分、区間快速が18・48分、普通が守谷発で毎時9・18・39・48分である。普通のうち18・48分は流山おおたかの森で快速の接続待ち合わせを行い、9・39分は守谷駅で区間快速と接続を取る形になっている。

秋葉原・つくばの両駅とも、快速で来た列車が快速で、区間快速で来た列車が区間快速でそれぞれ折り返す。秋葉原では優等列車の折り返し時間が最小となるダイヤとなっており、1面2線で列車が捌けている(折り返し時間:快速・区間快速は約4分、普通は約19分)。つくばでは多少時間待ちが生じる。快速で来た列車を区間快速で、区間快速で来た列車を快速で折り返すと折り返し時間が3分と短いながら最大効率のダイヤとなるが、高速バスつくば号」との対抗上、常につくば駅ホームに列車を在線させておくためか行っていない。

車両は直流車TX-1000系が全て普通列車(秋葉原~守谷)で運行される。交直流車TX-2000系は基本的に快速・区間快速(秋葉原~つくば)で運行されるが、ダイヤの都合上、一部は普通列車として秋葉原~守谷往復に使用される。

2006年12月8日のダイヤ改正ではそれまで2時間に1往復臨時扱いで運行していた守谷~つくば間の普通列車を定期化するとともに運用も組み込まれた。この普通列車を運行する時間帯は快速で到着した列車を普通列車として守谷に返し入庫させるとともに、守谷を出庫して普通列車としてつくばに到着した列車を快速秋葉原行きで折り返す運用となり、つくば駅におけるホームの運用も変更された。昼間の交直流車TX-2000系は車両の入れ替えはあるものの、実質9編成使用となった。なお、平日のつくば発9:31と15:30および土曜・休日のつくば発15:30の普通列車は秋葉原までの直通運転である(所要時間は63分)。

2007年10月18日のダイヤ改正では守谷~つくば間の普通列車を10・12・14・16時台にそれぞれ1往復増発させる。これによりつくば発10~16時台は1時間あたり5本となり、研究学園~みらい平間は1時間あたり3本となる。

夕方のダイヤ

夕方のダイヤは快速と区間快速を10分間隔(平日20・21時台と土曜・休日の終日は12分間隔)とし、普通をその間(各5分前)に運行している。普通の待避は八潮での1回だけである。なお一部の快速・区間快速は守谷止まりになっていて、20・21時台になるとつくばまでの運行本数が昼間より少なくなる。

2006年12月8日のダイヤ改正では12分間隔で運行する時間帯(秋葉原駅を平日20時以降、土曜・休日)のほとんどの普通列車を快速・区間快速の7分前に運行するダイヤ改正が行われ、それまでの八潮での待避から流山おおたかの森での待避に変更となった。流山おおたかの森まで普通列車が先着することとなり、快速・区間快速から普通列車に乗客の転移が見られる。

2007年10月18日のダイヤ改正では秋葉原発17:50と18:50の快速および19:50と20:48、21:48の区間快速を守谷行きからつくば行きに変更し、守谷発18:51の上り快速および21:50の区間快速をつくば発に変更する。また守谷発20:55の上り区間快速をつくば発の上り快速に変更する。これによりつくば発17~20時台は1時間あたり5本となり、研究学園~みらい平間の下りは17~22時台で1時間あたり3本となる。

特別ダイヤ

2005年10月は1ヶ月に亘って研究学園駅周辺で「つくばスタイルフェスタ」が行われ、快速の停車しない研究学園駅の利便性向上のために土曜・休日の昼間臨時ダイヤを実施した。通常守谷折り返しとなっている普通列車のうち秋葉原発毎時22・52分の列車(流山おおたかの森で快速を待避)をつくばまで延長運転を行った。この実施のため、普通列車も交直流電車を使用する必要が生じた。

普通列車の運行距離が延びるため、通常8運用の直流車TX-1000系運用のうち4運用を交直流車TX-2000系に振り替えた上で同系列の運用を1本追加した5運用で日中のつくば直通普通の運用を行っていた。よって臨時ダイヤ期間中の運用数はTX-1000系は普通運用が4運用、TX-2000系は普通運用が5運用、区間快速と快速がそれぞれ4運用ずつ、即ちTX-1000系4運用とTX-2000系13運用である。現在の配属編成数ではTX-1000系とTX-2000系の間に走行距離の不均衡が発生するが、通常運用においてもTX-1000系の運用にTX-2000系が入ることは多い。

なお、11月12日と茨城県民の日である13日にみらい平駅近辺で行われた「大好き茨城県民まつり2005」の時も同じ要領で普通列車がつくばまで延長運転を行っていた。

その後、2006年7月21日9月10日の期間に守谷~つくば間で日中に臨時普通列車を運行している。2005年秋の形態とは異なり、一部を除いて守谷~つくば間の臨時普通列車と秋葉原~守谷間の普通列車とが守谷駅で接続するダイヤ構成になっている。9月4日には当初設定していた期間を終えた11日以降も当面の間この特別ダイヤによる運転を継続すると発表した。これは、筑波山が観光客で賑わう秋の行楽シーズンの需要があるかを再度見定めるためである。その結果、利用が好調であることから12月8日のダイヤ改正で定期便化した。

2006年11月26日、つくば市において「つくばマラソン」が行われたが、来場者用の施設を研究学園駅周辺に設け、研究学園駅の利用者が集中することが予想されたため、臨時ダイヤを設定した。朝方については守谷止まりの下り普通列車、区間快速列車各1本をつくばまで延長運転したほか、下り快速列車2本を研究学園駅に臨時停車させた。つくばエクスプレスはATOで自動運転を行っており、通常プログラム以外の運転形態となる快速列車の臨時停車は初となった。午後については守谷~つくば間の区間運転普通列車を増発し30分間隔運転を行った。

車両

車両検修施設

列車内無線LAN接続

トライアル

2005年8月24日の開業時からTX-2000系1編成(2160F)において列車内無線LAN接続の実験運用が行われていた。開始時の利用可能区間は秋葉原~北千住間であったが、2006年3月14日より秋葉原~南流山間の10駅9区間で公式に利用可能となり、同年7月20日には全区間に拡大された。利用可能な編成については2159Fを皮切りにTX-2000系全編成に順次拡大された。

この実験運用は2006年7月31日をもって終了した。

商用サービス

2006年8月24日から、TX-2000系全編成及び秋葉原~つくば全区間で商用サービスが開始された。当初はNTTドコモMzonemoperaU「公衆無線LAN」コースのみだったが、同年11月9日東日本電信電話(NTT東日本)のフレッツ・スポットのサービスも開始された。

歴史

建設の経緯

計画当初の目的は、輸送力が限界に達した常磐線の混雑緩和を図ることであり、第二常磐線、その後常磐新線と呼ばれた。

1985年7月11日運輸政策審議会第7号答申において東京~守谷間が「2000年までに整備すべき路線」、守谷~筑波学園研究都市間が「整備の方向を検討する路線」とされた。これを受けて運輸省や関係自治体などで協議が進められ、1988年11月に当面の建設区間を秋葉原~筑波学園研究都市とすること、建設主体は第三セクター会社とし、完成後はJR東日本が運営を行うことなどの方針が決定した。費用の関係で、始発駅は当初予定の東京駅から秋葉原駅となった。「整備の方向を検討する路線」であった守谷以遠については、茨城県の強い働き掛けで第2期線から第1期区間に格上げされた。またバブルを経て、目的が常磐線の混雑緩和から沿線開発にシフトされ、1989年6月には鉄道整備と沿線の地域開発を同時に推進する「大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法」(「一体化法」「宅鉄法」と略称)が制定された。

1991年3月に建設主体となる第三セクター会社「首都圏新都市鉄道株式会社」が設立された。当初、運営主体となることが予定されていたJR東日本が「採算性に不安がある」として参加を見送ったため、首都圏新都市鉄道が完成後の運営も行うこととなり、1992年1月に第一種鉄道事業免許を取得した。当初は2000年に開業する予定であったが、用地買収の難航などにより工事が遅れ、約5年繰り下げられて2005年8月24日に開業が決定した。当初は10月開業予定であったが、地元の強い要望と学校の2学期に間に合うように2ヶ月前倒して開業することとした。

沿線の柏市守谷市などでは沿線の開発が進み、またつくば市都心部に位置する終点つくば駅周辺でもマンションの建設ラッシュとなっており、筑波研究学園都市の高い教育水準と居住性が評価され完売が相次いでいることから、当初の目論見通りJR常磐線の乗客がどれだけこの路線に流れるかが注目されていた。

なお、かつてつくばエクスプレスに近いルートを通る筑波高速度電気鉄道の計画があったが、つくばエクスプレスはこの計画と直接の関係はない。

また、開業時は「首都圏最後の通勤路線新線」とも言われた。

開業後

開業後は前述の通り初年度乗客数予想の135,000人/日を超える150,700人/日に達しているほか、秋葉原駅では旅客動線の複雑さから、朝夕を中心に乗り換え客や電気街での買い物客などで慢性的な混雑となっており、「設計者・経営陣もこれほどの乗客増加を予想していなかったのではないか」との声が上がるほどだった。このため同駅では開業から1年あまりで自動改札機の増設が行われた。

埼玉千葉県内の区間や守谷・つくば市内はもちろん、開業前には開発の進展が危ぶまれていた守谷駅以北の快速通過駅でも、みらい平駅前には飯田産業、つくば市庁舎の新築移転が予定されている研究学園駅前には穴吹工務店三菱地所による大規模マンションがそれぞれ着工されている。また、既に流山おおたかの森駅前に高島屋系の東神開発柏の葉キャンパス駅前に三井不動産による「ららぽーと柏の葉」、研究学園駅前にダイワハウスによる大規模ショッピングセンターが建設されているほか、八潮駅前にはカスミをキーテナントとするショッピングセンター「フレスポ八潮」がオープンするなど新規開発が行われている。

沿線開発が進む一方で、それまであった農地森林などが宅地化されていくことに対し、一部の地元住民と地権者から環境破壊との声も上がっている。

利用が好調であることから、2006年12月8日に行われたダイヤ改正では平日ラッシュ時の混雑を平均化させるため、普通列車の八潮での待避が一部列車で行われなくなり、また茨城県内の利便性を向上させるべく臨時列車として7月21日から守谷~つくば間で運転されていた普通列車も定期列車化された。またつくば・秋葉原両駅発の守谷行最終列車時刻が繰り下げられた。その一方で、朝ラッシュピーク時の南流山~北千住間では快速・区間快速が一部スピードダウンし、同列車は同区間で1~2分ほど時間が延びている。

つくば国際会議場に向かう来賓の利用もあり、そのために秋葉原とつくばの両駅に来賓用の待合室「TXルーム」の設置が予定されている。

年表

  • 2005年8月24日 開業。
  • 2006年2月7日 早朝、守谷総合基地入出庫線と柏たなか駅付近で凍結による架線障害により2電車が立ち往生、2時間20分にわたり運転見合わせ。
  • 2007年1月16日 早期地震警報システムを導入。
  • 2007年3月18日 PASMOを導入。

今後の計画

車両の増備

2008年度中にTX-2000系を4編成(24両)を新造し、輸送力を増強すると発表された[1]。この新造により、朝ラッシュ時のTX守谷駅以南の上り列車の運行本数を現行の「1時間当たり最大16本」を「1時間当たり最大20本」まで運行本数を増加させることが可能であると発表されている。

延伸計画

予定
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秋葉原駅から東京駅まで延伸する構想があり茨城県と県下市町が実現を強く要望しているが、現時点で正式決定には至っていない。着工時より東京延伸は視野に入っており秋葉原駅が地下34mという深さにホームがあるのも、東京方面への延伸が実現した際に秋葉原ワシントンホテルの基礎が線路に干渉するのを避けるためである。延伸した場合は丸の内側の丸ビル地下(JR東京駅西側約300m)に直結し、JR京葉線との接続を重視する構想もあるが現時点では延伸時の駅設置地点は未定となっている。延伸に掛かる費用は推定1,100億円と言われるがほぼ同額の建設費用縮減分が現在も使途が決定しないまま残っており、費用面では問題は少ないと見られている。

秋葉原ワシントンホテルのさらに南側には神田川があり、直下には東京メトロ日比谷線、その下を都営新宿線がくぐっており、東京延伸にはさらにこの下に線路を建設しなければならない。このため、東京延伸は深度50m以上の大深度地下を利用することが検討されている。

北方面へはつくばから土浦市さらには石岡市までの延伸構想も地元(茨城県)では検討されている。また、茨城県で2009年に予定されている百里基地の軍民共用化(茨城空港)を視野に入れ、飛行場を経由して水戸市への延伸も要望としては存在する。しかしながら、その効果に対して疑問視する声も大きく、正式な計画とはなっていない。

駅一覧・接続路線

駅番号 駅名 駅間キロ 累計キロ 電源 普通 区間快速 快速 接続路線 所在地
01 秋葉原駅 - 0.0 直流 東日本旅客鉄道:山手線 京浜東北線 中央・総武線(各駅停車)
東京地下鉄:日比谷線(H-15)
東京都 千代田区
02 新御徒町駅 1.6 1.6 都営地下鉄:大江戸線(E-10) 台東区
03 浅草駅 1.5 3.1  
04 南千住駅 2.5 5.6 (※東日本旅客鉄道:常磐線(快速)
(※東京地下鉄:日比谷線(H-20))
※路線案内などで案内されているが、連絡運輸を行っていない。下記を参照。
荒川区
05 北千住駅 1.9 7.5 東日本旅客鉄道:常磐線(快速)
東京地下鉄:日比谷線(H-21) 千代田線(C-18)
東武鉄道:伊勢崎線
足立区
06 青井駅 3.1 10.6
07 六町駅 1.4 12.0
08 八潮駅 3.6 15.6 埼玉県 八潮市
09 三郷中央駅 3.7 19.3 三郷市
10 南流山駅 2.8 22.1 東日本旅客鉄道:武蔵野線 千葉県 流山市
11 流山セントラルパーク駅 2.2 24.3  
12 流山おおたかの森駅 2.2 26.5 東武鉄道:野田線
13 柏の葉キャンパス駅 3.5 30.0 柏市
14 柏たなか駅 2.0 32.0
15 守谷駅 5.7 37.7 関東鉄道:常総線 茨城県 守谷市
16 みらい平駅 6.6 44.3 交流 つくばみらい市
17 みどりの駅 4.3 48.6 つくば市
18 万博記念公園駅 3.2 51.8
19 研究学園駅 3.3 55.6
20 つくば駅 2.7 58.3
  • ◇は一部列車のみ

駅番号

東京地下鉄(東京メトロ)や都営地下鉄などと同じく各駅にそれぞれ駅番号を付与している。但し両者のものとは違い数字のみの2桁で付番され、秋葉原が01、新御徒町が02……と続き、つくばが20である。両者の駅番号との関連性はなく、つくばエクスプレス独自のものとなっている。

運賃

秋葉原駅の関東鉄道常総線連絡運賃表 2005年12月29日

大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ)。2005年2月16日申請、同年4月20日認可。JRの運賃水準を参考として、秋葉原~つくば間は当時の高速バス運賃よりも若干安くなるように設定された。ただし、つくばエクスプレス開業と同時に、高速バスつくば号の運賃は1,150円に改定され、結果的に同額となっている。

  • パスネットPASMOが利用可能ですべての自動改札機が2枚投入に対応している。
  • 往復乗車券は運賃の割引は無いが、発売日を含めて2日間有効となっている。
  • 普通乗車券連絡運輸については接続路線で唯一の株主である関東鉄道の常総線のみとなっている。このため、各駅の切符売り場にはTX線内運賃の横に関東鉄道常総線の乗り継ぎ運賃が記されている。
  • 定期乗車券の連絡運輸については、南千住駅での対JR東日本常磐線・対東京メトロ日比谷線及び秋葉原駅での対日比谷線を除き、すべての乗り換え駅において各接続路線(関東鉄道常総線、東武鉄道、JR東日本、東京メトロ、都営地下鉄)との間で実施されている。
キロ程(km) 運賃(円) キロ程(km) 運賃(円)
1~3 160 28~30 650
4~5 200 31~33 700
6~7 240 34~36 750
8~9 280 37~39 800
10~11 320 40~42 850
12~13 360 43~45 900
14~15 400 46~48 950
16~18 450 49~51 1,000
19~21 500 52~54 1,050
22~24 550 55~57 1,100
25~27 600 58~59 1,150

企画乗車券

発売中

  • TX&常総ライン往復きっぷ
    • 適用区間及び発売駅:つくばエクスプレス線(秋葉原駅・北千住駅)~関東鉄道常総線(石下駅下妻駅下館駅)間、守谷のみ途中下車可能
    • 発売額:3,080円~2,420円(小人は半額)
    • 有効期間:発売日から2日間
  • TOKYO探索きっぷ
    つくばエクスプレスの往復乗車券と都電都バス・都営地下鉄一日乗車券がセットになったもので、2006年4月24日から発売している。つくばエクスプレスの往復乗車券は浅草駅に限り途中下車ができる(同駅と秋葉原駅発売分を除く)。
    • 発売駅:つくばエクスプレス線各駅(新御徒町駅を除く)
  • 筑波山きっぷ
    つくばエクスプレスの往復乗車券、筑波山シャトルバス往復乗車券、筑波山路線バス筑波観光鉄道ケーブルカーロープウェイ一日乗車券がセットになったもので、2006年4月1日から発売している。
    • 発売駅:つくばエクスプレス線全駅(つくば駅を除く)

発売終了分

  • 開業記念一日乗車券
    • 適用区間:全線
    開業前の2005年8月19日21日に発売した。発売額は500円、有効期間は8月29日から31日までの任意の1日のみ。合計30,000枚を発売した。「とりあえず一度使ってみて下さい」という主旨と思しきお試し乗車券。
  • 新春一日乗車券
    • 適用区間:全線
    2006年1月1日3日につくばエクスプレス線各駅で発売、有効期間は発売当日限り。購入日当日に限り、沿線の特定の店に提示すると様々な特典が受けられた。発売額は大人用が2,000円、小人用が1,000円。
  • 夏休み!1日乗り放題きっぷ
    • 適用区間:全線
    2006年7月15日~8月31日につくばエクスプレス線各駅で発売、有効期間は発売当日限り。またこの切符の発売に伴いTXわくわく!スタンプラリーが実施され、スタンプを集めた数により様々な景品が用意された。スタンプの数は全部で52個あり、すべて集めた乗客のうち1名に実際の車両で使われたヘッドマークがプレゼントされた。発売額は大人2,300円、小児680円で、大人と小児の料金を合計すると2,980円(ツクバ)となる。
  • TX!1日乗り放題きっぷ
    2006年12月22日~2007年1月8日のいわゆる冬休み期間に発売。発売駅・有効期間・発売額は「夏休み!1日乗り放題きっぷ」と同じ。この乗車券の発売に伴い、2007年の新春一日乗車券は発売されなかった。
  • 開業2周年記念一日乗車券
    • 適用区間:全線
    文字通り開業2周年となる2007年8月24日~9月2日に発売された。発売額は大人用が2,000円、小人用が680円で有効期間は発売期間内のうち、1日に限り有効。なお先着40,000枚に限り、特別デザインの券面を発売した。

イメージキャラクター

スピーフィ
一般公募の中から、2005年2月5日に「スピーフィ」という名称が発表された。「スピーディ」で、「ナイス・フィーリング」なイメージであるのが名称の由来である。

シンボルマーク

つくばエクスプレスのロゴマークであるTXTsukuba Expressからきている。

  • TXが弧を描き、交わることにより、スピード感や活力を表現している。
  • 2つの弧は、沿線住民や利用者にとっての「夢の架け橋」的存在となることを象徴している。
  • 東京電力やアサヒビールなどのデザイン開発を行った永井一正によるものである。

沿線開発

つくばスタイル

「つくばスタイル」とはつくばエクスプレスの茨城県南地区の沿線におけるまちづくりと生活ライフスタイルのことである。地域ブランドとして使われることもあり、茨城県により商標登録出願中である。スローライフの一種ともいえるが、本質的な意味としては、筑波山など古来から豊富な自然環境をもつこの地域に、都心からのアクセス向上、大型商業施設の建設などにより利便性が高まった都市機能、筑波研究学園都市や東京大学柏の葉キャンパスなどに象徴される知的な環境を有機的に結びつけることを意図したものである。このライフスタイルをPRするために、エイ出版社から同名のムック誌「つくばスタイル」(制作協力 茨城県・UR都市機構)が2004年に創刊され、vol.1からvol.5まで刊行されている。

2005年には研究学園駅周辺において「つくばスタイルフェスタ2005」が開催された。2007年7月には研究学園駅前の葛城地区公園内につくばスタイルの情報発信拠点として「古民家つくばスタイル館」がオープンしている。

茨城県全体の人口は減少しているにもかかわらず、つくばエクスプレス開業後の同県内の沿線3市(つくば市、つくばみらい市、守谷市)の人口は、いずれも増加傾向にある。またマンション建設は現在も続き、各駅前で200~600世帯規模のマンション建設が相次いでいる。

つくばエクスプレスタウン

「つくばエクスプレスタウン」とは、つくばエクスプレス沿線で、開発している新しい街のことである。茨城県内では茨城県とUR都市機構が以下の街を整備している。前述の「つくばスタイル」を具現化する街づくりが進行中である。それぞれの街の物件情報やまちづくり情報については、TX住みたいねっと」で把握することができる。

みらい平・いちさと

「みらい平・いちさと」とはつくばエクスプレス沿線地域の名称かつ愛称である。また、つくばエクスプレス開業に伴う開発地域を指す。「いちさと」はつくばエクスプレス線沿線の茨城千葉埼玉東京の頭文字を取ったものである。

現在つくばエクスプレス線の鉄道の整備とともに、沿線地域全体において自治体都市再生機構が大規模開発・再開発を行っている。その開発地域全体を指す愛称として定められている。

つくばエクスプレス線のみらい平駅はこの沿線全体の愛称より引用して名づけられた駅名である。

開発計画

  • みらい平(みらい平駅)
  • つくばみどりの里(みどりの駅)
  • 田園都市島名(万博記念公園駅)
  • 研究学園葛城(研究学園駅)
  • 中根・金田台(つくば駅近郊)
  • UR都市機構が整備している街(研究学園葛城、つくばみどりの里、中根・金田台)
  • 茨城県が整備している街(みらい平、田園都市島名)

街並みの事例

  • みらい平陽光台
  • ジェントルヒルみどりの
  • つくば葛城パセオコモンズ

その他

  • ガラスアートやステンドグラスなどのパブリックアートが飾ってある駅が数駅ある。
    • 秋葉原:陶板レリーフ(改札外、A1出口方面)
    • 八潮:ガラスアート(コンコース)
    • 流山おおたかの森:ステンドグラス(コンコース)
    • 守谷:ステンドグラス(コンコース)
  • 秋葉原・流山おおたかの森・守谷などの主要駅にはAEDが設置されている。

出典

  1. https://www.mir.co.jp/./uploads/20070613150931.pdf 車両増備について

関連項目

外部リンク

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